相続時精算課税の基礎知識

知っておきたい贈与税の基礎知識 -相続時精算課税-

平成29年4月1日現在法令等に基づき記載しています。

 

贈与税とは

 

贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合や債務の免除などにより利益を受けた場合も、贈与を受けたとみなされて贈与税がかかります。(死亡した人が自分を被保険者として保険料を負担していた生命保険金を受け取った場合は、贈与税でなく相続税の対象です。)

 

贈与税の課税方法

 

贈与税の課税方法は、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。(今回、暦年課税は、紹介しません。)

 

相続時精算課税

 

適用対象者

 

相続時精算課税制度は、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。従って贈与者は、贈与をした年の11日において60歳以上の父母又は祖父母、受贈者は贈与を受けた年の11日において20歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫)である推定相続人又は孫です。

相続時精算課税制度は、受贈者(子又は孫)が贈与者(父母又は祖父母)ごとに選択できますが、いったん選択すると選択した年以後贈与者が亡くなる時まで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。

 

適用手続

 

この制度を選択する場合、相続時精算課税を選択しようとする受贈者(子又は孫)は、贈与を受けた年の翌年21日から315日までの間に納税地の所轄税務署長に対して「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の戸籍の謄本などの一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。

なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、「暦年課税(注)」へ変更することはできません。

 

贈与税額の計算

 

相続時精算課税の適用を受ける贈与財産は、その選択をした年以後、相続時精算課税に係る贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。

 

その贈与税の額は、相続時精算課税を選択した贈与者ごとに、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から2,500万円の特別控除額を控除した残額に対して20%の税率を乗じた贈与税がかかります。前年以前にこの特別控除の適用を受けた金額がある場合は、2,500万円からその金額を控除した残額がその年の特別控除限度額となります。

 

なお、この特別控除額は、贈与税の期限内申告書を提出する場合のみ控除することができます。

 

(相続時精算課税を選択した受贈者が、相続時精算課税に係る贈与者以外の者から贈与を受けた財産については、その贈与財産の価額の合計額から暦年課税の基礎控除額110万円を控除し、贈与税の税率を適用し贈与税額を計算します。)

 

申告と納税

 

贈与税がかかる場合及び相続時精算課税を適用する場合には、財産をもらった人が申告と納税をします。申告と納税は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に行います。相続時精算課税を適用する場合には、納税額がないときであっても財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に申告する必要があります。

 

相続税との関係(相続税額の計算)

また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。(既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額があるときは、相続税額から控除されますし、相続税額から控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税相当額は、相続税の申告をすることにより還付されます。)

 

暦年課税と違い相続時精算課税制度を適用した贈与は、相続税計算の際に必ず加算されます。(そのため、多くの税理士は、相続税計算精度の適用をお勧めしません。)相続時精算課税制度をお勧めするケースは、贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時にその財産の価格が贈与時よりも高くなるケースのみです。

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