暦年贈与

知っておきたい贈与税の基礎知識 -暦年課税-

※平成29年4月1日現在法令等に基づき記載しています。

 

贈与税とは

 

贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合や債務の免除などにより利益を受けた場合も、贈与を受けたとみなされて贈与税がかかります。(死亡した人が自分を被保険者として保険料を負担していた生命保険金を受け取った場合は、贈与税でなく相続税の対象です。)

 

贈与税の課税方法

 

贈与税の課税方法は、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。(今回、相続時精算課税は、紹介しません。)

 

暦年課税

 

贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。

 

 

申告と納税

 

贈与税がかかる場合及び相続時精算課税を適用する場合には、財産をもらった人が申告と納税をします。申告と納税は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に行います。

相続税との関係

 

相続などにより財産を取得した人が、故人(=被相続人)から死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間(=その相続開始前3年以内)に贈与を受けた財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与の時の価額を加算します。

 

(その相続開始前3年以内の贈与は、相続税計算で足し戻されますが、その前の贈与は足し戻されません。早め早めに贈与をしておきなさいよと言われるのはこのためです。)

 

贈与税の計算

 

贈与税の計算は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。そして、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。その残りの金額に以下の税率を乗じて税額を計算します。

 

【一般贈与財産用】(一般税率)

この速算表は、「特例贈与財産用」に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。例えば、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに使用します。

一般贈与財産税率

 

【特例贈与財産用】(特例税率)

この速算表は、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与税の計算に使用します。

※ その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)とは、贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の直系卑属のことをいいます。例えば、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などに使用します。(夫の父からの贈与等には使用できません)。

特定贈与財産税率

 

贈与税計算例

 

一般贈与財産用の計算

 

兄弟間の贈与で贈与財産の価額が500万円の場合

基礎控除後の課税価格 500万円 - 110万円 = 390万円

贈与税額の計算 390万円 × 20% - 25万円 = 53万円

 

特例贈与財産の計算

祖父から財産の贈与を受けた年の1月1日現在において20歳以上の孫への贈与で贈与財産の価額が500万円の場合

基礎控除後の課税価格 500万円 - 110万円 = 390万円

贈与税額の計算 390万円 × 15% - 10万円 = 48万5千円

 

一般贈与財産用と特例贈与財産用の両方の計算が必要な場合

一般贈与財産が100万円、特例贈与財産が400万円の場合

 

まず、全ての贈与財産を「一般贈与財産」として税額計算します

500万円 - 110万円 = 390万円

390万円 × 20% - 25万円 = 53万円

 

この税額のうち、一般贈与財産に対応する税額を計算します

53万円 × 100万円/(100万円+400万円) = 10万6千円

 

次に、全ての贈与財産を「特例贈与財産」として税額計算します

500万円 - 110万円 = 390万円

390万円 × 15% - 10万円 = 48万5千円

 

この税額のうち、特例贈与財産に対応する税額を計算します

48万5千円 × 400万円/(100万円+400万円) = 38万8千円

 

10万6千円(一般贈与財産の税額) + 38万8千円(特例贈与財産の税額)= 49万4千円が贈与税額となります。

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