親からの借金を贈与とみなされないために

こんなケースでも贈与税がかかる -親から金銭を借りた場合-

平成29年41日現在法令等に基づき記入しています。

 

先日、和菓子屋を始めるという方の相談を受けました。話の流れの中で「ご両親からお金を借りる」という話題が出てきました。親から子へ、祖父母から孫へなど特殊関係にある人からお金を借りる場合、その貸借が、借入金の返済能力や返済状況などからみて本当に金銭の貸借であると認められる場合には、借入金そのものは贈与にはなりません。しかし以下のようなケースの場合、贈与とみなされます。

 

贈与とみなされる場合

 

1.返済が不可能な高額な借金

 ご自身の収入から返済が不可能な金額を借り入れてしまうと、贈与が前提であるとみなされます。

 

2.無利子

 借りたお金はしっかりと返済していても、借金に対する利息が支払われていない場合、利子相当額が贈与とみなされます。{仮に利息相当額が贈与みなされた場合も、利息相当が110万円(基礎控除額)以下であれば贈与税はかかりません。}

 

3.ある時払いの催促なし・出世払い

 返済期限がなくいつでも好きなときに返済できる状態や、年によっては全く返済をしないことがある場合、本来の借入をしている実態があるのに借入をしている状態とはいえないため、借金の総額が贈与の対象となります。

 

借金を贈与とみなされないために

 

1.契約書の作成をおこなう

金銭消費貸借契約書を作成します。金銭消費貸借契約書に決まったフォーマットはありませんが、以下の9項目を忘れずに記載してください。

① 契約書の作成日付(年・月・日を必ず)

② 借主の氏名・住所・押印

③ 貸主の氏名・住所・押印

④ 借入する金額

⑤ お金を渡した日付

⑥ 返済方法・返済期日

⑦ 利息

⑧ 遅延損害金

⑨ 期限利益の喪失

 

署名は直筆で書きましょう。それ以外は基本パソコンで作成して問題ありません。印鑑は、実印の方が良いです。金額は、改ざん防止のため漢数字の大字(壱・弐・参・・・)を使用した方が良いです。収入印紙が必要か確認してください。上記の項目には記載しませんでしたが連帯保証人がいる場合は、必ずその旨を記載してください。その際には、連帯保証人の署名、捺印も必要になります。また保証人がいる場合には、金銭消費貸借契約書を、貸した方、借りた方、保証人の3部を作成する必要があります。

 

2.返済の証拠を残す

返済の実績が無い場合、贈与と言われても文句が言えません。手渡しで返済してしまうと返済の証拠が残らないため、ご両親が管理する金融機関の口座へ振り込みをして返済をしてください。

 

3.金利は必ずつける

金利の設定は必ず行います。利率は、常識的な範囲内で、銀行などで借りる場合の利率を参考に決めるのが良いでしょう。住宅ローンの金利と車のローンの金利が違うように用途ごとに市場の金利も異なるため、その用途に合わせた金利を設定してもよいです。親子間ですので、市場価格より多少安くても問題はありません。

 

4.返済可能な金額を借りる

金銭消費貸借契約書を結んでいても、返済不可能な金額であれば贈与となります。この契約書で結んだ内容が返済可能であるかどうか、しっかり吟味して借りましょう。

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