青色申告の記帳 白色申告からのステップアップ

青色申告の為に必要な帳簿

-白色申告からのステップアップ-

白色申告から青色申告(65万円控除)にするだけで、年間約98,000円の節税(10万円控除の場合は、年間約14,000円)となります。(他の青色申告の特典を使えば、その効果は、より大きいものとなります。不動産事業の場合は、5棟10室の事業的規模も要求されますので、注意してください。)白色申告から青色申告にステップアップするための問題があるとすれば、帳簿(記帳)です。しかし、10万円控除のための帳簿であれば簡易的な帳簿で済みますし、65万円のための帳簿も会計ソフトを使えば、簡単に出来てしまいます。

青色申告(10万円控除)のための帳簿づけ

青色申告(10万円控除)の場合、確定申告書とあわせて「損益計算書」を提出します。逆に言えば、税務署の方が皆様の作成した帳簿から正確な損益計算書の数値の裏付けが取れればいいわけです。

2年前の所得金額が300万円以下

前々年分の所得金額(青色事業専従者給与の額を必要経費に算入しないで計算した額)が300万円以下の方は、青色申告を始めようとする年の3月15日までに、税務署に「所得税の青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書」を提出していれば、現金の収入や支出のタイミングで帳簿をつける、いわゆる「現金主義」によって計算することができます。現金主義の場合、家計簿とほぼ同レベルの現金出納帳に経費欄を加えて作成するだけで帳簿の作成は終了です。(当然、現金出納帳の数値から損益計算書が作成できないとまずいです。)

2年前の所得金額が300万円超

前々年分の所得金額が300万円超の方は、現金主義(現金の収入や支出のタイミングで処理)ではなく、発生主義(収入や支出の事実が確定した時点で処理。例えば12月の携帯代を1月に支払ってもその経費は12月に計上する処理です。)で処理することになります。
帳簿は、損益計算書を作成できれば簡易的な記帳で認められます。
事業内容や取引方法によって作成が求められる帳簿は異なりますが、標準的な簡易帳簿(以下「補助簿」という)は、現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳の5種類です。

現金出納帳

事業用の現金の出し入れの状況を、取引順に記載する帳簿です。現金売上や現金仕入を行った場合の売上帳と仕入帳も兼ねています。

売掛帳

得意先ごとに口座を設け、商品などの掛売りや、売掛金の回収の状況を記載する帳簿です。

買掛帳

仕入先ごとに口座を設け、商品などの掛買いや、買掛金の支払の状況を記載する帳簿です。

経費帳

仕入以外の事業上の費用を租税公課、水道光熱費、旅費交通費、給料賃金などの科目ごとに口座を設けて記載する帳簿です。費用の金額を現金で支払った費用とそれ以外の費用(例えば、小切手支払や現物給与など)に区分して記載します。

固定資産台帳

事業用の減価償却資産や繰延資産について、原則として個々の減価償却資産ごとに口座を設け、資産の取得及びその異動に関する事項などを記載する帳簿です。

青色申告(65万円控除)のための帳簿づけ

青色申告(65万円控除)の場合、確定申告書とあわせて「損益計算書」と「貸借対照表」を提出します。
帳簿は、複式簿記に基づいて作成されます。(ちなみに簡易的な帳簿でも、日々の継続的な記録及び棚卸資産の棚卸しやその他の決算整理を行って貸借対照表と損益計算書を作成できれば、「正規の簿記」に該当すると考えられ65万円控除が認められます。)
帳簿は、上記で上げた「補助簿」のほかに「主要簿」と呼ばれる総勘定元帳・仕訳帳という帳簿を作る必要があります。

総勘定元帳

複式簿記のすべての取引を勘定科目別にまとめた帳簿

仕訳帳

複式簿記のすべての取引を日付順に記録した帳簿

具体的処理方法

経理の知識がある方

仕訳帳に記入し、仕訳帳の結果を総勘定元帳に転記します。さらに自社の事業内容や取引方法に応じた「補助簿」をつけます。(手書きで作成される方は、「補助簿」を作成し、その内容を総勘定元帳・仕訳帳といった「主要簿」に反映するという流れで処理される方が多いようです。)そして、年末に総勘定元帳の記録をもとにして、「損益計算書」と「貸借対照表」を作成します。

経理の知識がない方

簿記に関する理解を深めるに越したことはありませんが、仕訳帳、総勘定元帳、損益計算書、貸借対照表など、帳簿書類や決算書の仕組みは一朝一夕に理解できるものではありません。そのため、経理の知識がない方は、実際に会計ソフトを使ってみながら理解を深めていく方法をおすすめします。
最新のクラウド型会計ソフトは、値段が安く(無料から年間数万円)、経理の知識がなくても直感的に作業できるように工夫されています。1つの作業を行えば、「補助簿」や「主要簿」へ内容を反映してくれます(作業を行えば自動で仕訳を作成してくれる機能もあります。)。

共通処理事項

帳簿の保存

確定申告の際に提出するのは、申告書に添付する「損益計算書」や「貸借対照表」です。帳簿は、提出しません。
帳簿は、税務調査の際にしっかりとチェックされますので保存しておいてください(それぞれ7年間は保存を義務付けられています。)。また、領収書や請求書なども7年間の保存期間が設けられており、見積書や注文書も5年間は保存しなければいけません。

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